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「っ…!!」
なんとかあと唇が触れ合うまで1cmのところで意識がボーッとしていたのも覚醒して突き飛ばした。
「てめ、ふざけんなよ、ファーストキスすらまだなんだぞ俺は…!」
息はなんだか荒くなるわよくわからない汗が背中を伝った。
「ふーんそうなんだ、いい情報もらっちゃたなあ。というかほんとに拒否するってことはノンケなんだね。大体の人はキスすると喜ぶし」
さっきまでキスしようとして来たくせにまるでなんともなかったような余裕の顔だ。
「だ、大体の人って…本当にこの学園ってホモばっかなのかよ」
ちょっとゾッとして鳥肌が立った腕を摩った。
「当たり前だろ。てかてめえぐらいだわ、風早相手にそこまで嫌そうにしたのは」
不良も謎に感心したのと驚いたのが混じった表情で俺のことを下からみ見上げていた。
「はあ、この学園に慣れるまで時間がかかりそうだな…んじゃ俺がノンケだってことが分かったんだし、とりあえずここでお別れ」
「それでも裕二を傷付けちゃうには変わりないから一緒に食堂には来てもらうよ」
…ええ?
回想長かったな申し訳ないですしおすし。これまでの事情があって俺は結局一緒に行くことになってしまったのだ。それをワカメメガネに伝えたら「本当か!?」と嬉しそうにしてたのはいいけど、水瀬に伝えたら「ご冥福をお祈りします」とか死んでもいないのに何故か死んだことにされたからなんだろう、嫌な予感しかしない。
「あーちょっとお腹痛くなってきちゃったなートイレ行ってこよっかなー」
「え?今なんて言った?」
「トイレに行って」
「は?もうちょっと大きく」
「なんでもねえよ…」
さっきから逃げようとするが風早が笑顔=威圧感で邪魔ばっかしてきて逃げられない。本当にトイレ行きたくなったらどうすればいいんだろう。
そしてついに食堂に着いてしまった。っていっても直ぐにお昼食べちゃえばいい話だしな、別にこれから何が起きるわけでもないだろうし…
これをフラグって言うんかな、この後予想を裏切って斜め上の出来事が起きることを俺は知りたくもなかった。
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