始まり

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空いているテーブル席に駆け寄ると、ワカメメガネは 「オレゴリズンの隣がいいな!!」 と言って俺が腰掛けた椅子の隣に座ってきた。好かれてんのはいいんだけどな、もう2人のイケメンズが怖いんだって。目で殺されそうなんだよほんとに。 だが諦めたのかもう2人は隣同士で一緒に腰掛けた。よきことだ。 それから注文の流れと行きたいところだけども俺自身も初めてでやり方がよくわからないためワカメメガネが2人に聞くまで大人しくしとこう。 「なあ2人ともー注文の仕方ってこのパッドで注文すればいいんだよな!!?」 テーブルの端に立てて置いてあった高そうなパッドを取り出して2人に聞いた。 それに不良が答える。 「ああ、普通にメニューボタン押せばメニューが出てくるから食べたいものがあったらそれを押せばいい」 「そっかサンキューな!なあゴリズン、お前は何にする!?」 「え、俺?」 「ああ!先に選んでいいぞ!!」 「あ、ありがとう…」 嬉しいけどもその優しさが他から恐怖を引きつけるんだってばよ…。 皆注文してワカメメガネが熱心に俺に話しかけてそれに恐怖する繰り返しでいたら、ようやく料理が運ばれてきた。不良はカツ丼、風早はうどん、俺はカレーだ。 ワカメメガネだけの料理は来てない。他の2人はワカメメガネと一緒に食べるためか膝に手を置いて待っている。そんな中で俺だけカレーを口に運んだ。 「なあ、うまいかそれ!!」 「あー中々うめえぞ」 「いいなー1口くれよ!!」 えっ…と顔が引きつってしまう。イケメンズをチラ見すると殺意がすごい伝わってきた。え、怖いです。 でも断っても睨まれるためどうしようもない。だから新しいスプーンをまたしてもテーブルの端にあるカトラリーの収納ケースから取り出してワカメメガネに渡した。 「はいよ、これで食え」 だがそれを受け取らずに拒否ったワカメメガネ…もういい加減裕二と呼んであげよう。昨日でも滅茶苦茶名前で呼べって洗脳されるくらい言われたし。 「…ちげえよ!俺はそのスプーンでいいんだよ!!」 「は?どうゆう…」 一瞬だった。裕二はどっかの誰かさんがやったように凄まじい力の強さで俺のスプーンを持っている方の腕を裕二の口元に近寄らせた。これがデジャブってやつ? そしてさらに吃驚なことに裕二はそれを食べた。 …は?か、間接キッスなんじゃ… だめだ、もう恐ろしくてイケメンズのことを見れない。きっと今の俺は顔面蒼白だろう。普通の友達同士なら笑って済む。けどこいつらはガチホモだ。とても笑えない。 とりあえず俺は笑おう。笑顔を振り撒けばいいこともある。 「はは、食いしん坊だなまじで…でも裕二、なんで新しいスプーンを受け取らなかったんだ?」 イケメンズも激怒しているのに、嘘の笑みを浮かべたまま自然と口から出てきてしまった。俺の中でもかなり気になってたしまあ本能的な何かだろ。すぐに答えてくれると思いきや、裕二は全く口を開かずにただ俯いて無言だった。 え、そんなに言えないことなの?なんて俺自身の顔もみるみると緊張してくる。 だが丁度いいことにそこでイケメンウエイターさんが現れて「ご注文の品でございます」と硬い雰囲気をぶち壊すような穏やかな口調で告げた。 そして裕二が注文した料理をテーブルに置いたとき皿がコトっと音を立てた。 だがその料理を見て俺の顔はさらにこわばった。 「へへ、俺もゴリズンと同じカレーにしたんだ!辛さも一緒!お揃いだな!!」 裕二の執着度って…結構危うくね??
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