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「どうだね鉄男君との生活は」
「あらお父様にしては随分と普通の発言ね、もっとズバッと聞いてくるかと思ったわ」
「いや、娘の結婚生活など、それは想像したくもないことだがね、まあ 仲良くやってくれればそれでいいのでけれど。これ大間のマグロだよ、今日お前がくると言ったから特別に注文したんだよ」
「ほんと、ありがとう、この味、とろけそうに美味しいわよ。そうね、結婚前と変わったことといえば、結婚前は私、確かにこのマグロのよう、あの人にとろけていたわ。でも最近はちがうの、一応毎日一緒にいて、それがだんだん積み重なっていくわけだけれど、なんというか、そう、大きな橋桁を組み立てているみたい、毎日の接触で、だんだん関係がとても強固になっていくという感じ、大きな鋼材を縦横に組み立てて、どんな地震が来てもビクともしないようなとても頑丈な橋を作っているのよ」
「そうか、まだやっと一年だけれど、もうそんなに頑丈になったのか」
「そうね、それはとても頑丈、ほんと実感としてとても頑丈よ。びくともしない、もし倒れるとしたら二人もろとも一緒に倒れるの。分けられないのよ、あまりに複雑にはまり込んでいるから」
「それはとても良かった。うまくはまり込めたのは。で何かい、お互いうまくはまりこめない部分はないのかね」
「はっきり言ってないわ、ほんとよ、これは付き合った時からの実感。だから結婚したわけだし。私今まで音楽は趣味でやっていただけだけれど、その音楽にこんな力があるなんて本当知らなかったわ。それよりお父様は一人で大丈夫なの、食事とかちゃんとしている」
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