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とにかく病院へ行くことだけが頭に残った。
かろうじて父に言った。
「鉄男さんが脳出血、緊急手術なんだって」
「なに、それは大変、倫子急いで行かないと」
流石に父だ、商売柄こういう時の対応はしっかりしている、だから母と分かり合えなかったのかと、変な冷めた目の自分がいたけれど。
とにかく身支度をして急いで駅に向かった。
電車の中でようやく事の次第を飲みこんだ私は
「脳出血ってどうなるの、緊急手術って何」
「こんな若さでの脳出血だからきっと生まれつき血管の弱い部分があったのかと思うけれど、とにかく急いで出血を止めないと命に関わる」
「ええっ助かるの、私どうしたらいいの」
「落ち着くんだ、南葉会はこの分野では有名な病院だ、そこに運ばれたのは不幸中の幸いだ
とにかく行って状況を聞くしかない」
病院に着いたのはもう深夜1時過ぎだった。
看護師が来て言うには、会合中に頭が痛いと言い出して突然倒れたそうで、救急車の中で心臓が止まってしまったけれど、なんとか蘇生ができて緊急手術が必要な状況だと。救急処置室の窓越しに鉄男の姿はチラッとしか見えなかった。口やら鼻やら身体中に色々な管が入っていて周りを忙しそうに看護師が動いている。まるで工場のオートメーションの流れを見ているようなかんじだ。
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