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橋が崩れる。
ひとつ、ひとつと体から部品が飛び散って行く。
全てが散り散りになって飛んでいく。
ああキーストーンが落ちていった。
「今川さん」
「今川さん」
「おい倫子、倫子」
遠くの方で私を呼ぶ声が聞こえてきた
「今川さん」
粉々になった石が四方八方に飛び散っている。
お腹の上にも石が乗っかっている。
重い、なんとかその石を払いのける。
ああ、やっと息がつける、苦しい。
目が開かない、何か重いもが乗っかっている。
渾身の力でフリ払う。
「倫子おい倫子」
ああそれは父の声だ。
私はどうしたのだろう。
深い泥の沼の中にいる。
なんとか這い上がる。
うっすらと父が見えてきた。
「倫子 やっと目が開いたな」
ほれ大きく深呼吸だ。
「私、気を失っていたの」
「まあな、ほれもう大丈夫だから。水を持ってきたよ、ゆっくり呑んでみなさい」
「そうよ、鉄男は、鉄男はどうなったの」
「大丈夫だよ、手術は終わって今は安定している、ICUに入っているよ」
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