キーストーン

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 なんか深い眠りから覚めたような、まだぼうっとしていたが、とにかく鉄男を見にいった。 人工呼吸器がリズミカルな音を出している。体から多くの管が四方八方に伸びている。 頭はとても大きな包みで包まれていてほとんど見えない、わずかにその下から目がのぞいているけれど、完全に閉じられていて何も見せてくれない。全ての外界を拒否しているようだ。 鉄男、これが鉄男なの。 なんか知らない人になっている。 知らない魂がそこにいる。 ほんとよくわからない。 そっと足に触ってみた。 温かい。 きっと鉄男なのだろう。 温かくて涙がでそうだ。 鉄男 そうだ、この温かさ、前にもあったような感じだ。
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