キーストーン

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 例のあの無表情な看護師が言った。 「当面はこんな状態が続くと思われます。何か必要な状況がありましたらその都度ご連絡いたします、連絡先はこれでよろしいですね」 そこには私の携帯番号が書いてあった。 「はい、それでお願いします」 「では今日はこれまでで外でお待ちください」 ロボットとの会話は何にももたらさない。  私と父はのろのろと病院の玄関を出て行った。 朝日が眩しい。鳥の声が聞こえる、何の意味ももたらさないけれど。 駅までの道すがら私は今までのことを順番に思い出していた。 父の家で食事をしていた時に携帯がなってからのこと、順番に。 そして緊急でこの病院に駆けつけたことまで。
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