キーストーン

10/16
前へ
/91ページ
次へ
「蜷川君か、斉藤だがね、ちょっと至急話をしたいことがあるので、今晩うちに来てくれないかね」 「斉藤先生、はっ、はい、今夜ですね、今夜は分科会の会合が8時くらいまであるのですがそのあとならお邪魔できると思います」 「うん、突然で悪いけれどちょっと急ぎの事なので今日話をしたいのだ、分科会のあとでよいよ、会合の後の懇親会はスキップして来てくれればいいから」 「わかりました、あの、何か私のことでしょうか」 「いや、なに、それも含めてちょっと頼みたいことがあるのでな、まあ来てから詳しく話すよ」 「はっ、はい、わかりました。では後程お伺いさせていただきます」  何かもう少しどっしり構えられないものかなと他人事ながら思う。いつもこんな感じだからもう少しが信用できないのだよ。 外科医としての腕は結構しっかりしているのだから、自分に自信を持てばいいのに。 まあ、人の性格というのはなかなか変わらないものだけれど。性格までは移植できないからな。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加