キーストーン

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 息も絶え絶えになりながら、やっとの思いで声を出しているという感じだ。 「教授、私はこれまでずっと教授の下でお仕えしてきました。臓器移植が私の人生であるということは私も教授と同じです。でもこんな裏の移植をするとは今の今まで夢にも考えませんでした。でもおっしゃるとおり私もその道のベテランです、事実の可能性は十分理解できています。教授がばれないということをしっかりやっていただけるのなら、実際ばれたら教授も私も一蓮托生地獄行きですから、やってやれないことではないでしょう。もちろんその後は教授も私もそれを抱えた連合軍になるということでしょうから」 「蜷川君、まこと面倒掛けるよ、君の言う通りだ、私もそれなりの覚悟をしているよ」 「でも実際に誰もいない手術室などはどうやって用意なさるのでしょうか」 「それは俺が考える。今日は君も会の後にわざわざ来てくれてありがとう。もう話は十分したから、あとは俺に任せてくれ。帰って休むといいよ、明日はまた普通の日が続くのだ」 玄関まで見送ると蜷川は般若のように目を剥いて口からは途切れ途切れにやっとの声を出して言った。 「教授、これからは死ぬまで仲間ですね、それをどうぞお忘れなくです。私も覚悟しましたので」 「蜷川君、今日はありがとう、明日からまた普通だよ」 蜷川はピクピク震えながら去っていった。  
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