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睾丸移植
由美
二日が過ぎた。何もなかった。昼間可能な限り鉄男のそばにいるのだけれど何も変化はなかった。無機質なモニターの音だけが響いている。
夜父の家で向かい合っていた。目の前には箸のつけられてない出前のウナギが並んでいる。
父は何も言わなかった、何かを必死で考えているような、私の顔をずっと見ている。ずっと
そう、一時間も経っただろうか父が相変わらず私を見ている。
「倫子、お前の感じは正しい。全てがバラバラになってしまった、全てが。そして元に戻せない。その通りだ。だが一つだけキーストーンをはめる方法がある。尤もお前にも大変な努力を強いる禁じ手ではあるが」
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