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@ 大地
………なんだ、この展開…。
極寒の駐車場に置き去りにされた俺。
隣には、呆然と立ち尽くす深雪。
もう何度目か分からない告白をして、多少強引かと思ったけどこのままキスして…とか思ってたら、クラクション鳴らされて…
ニヤついた皇と青士の顔を見て、弾かれるように離れた深雪の後を追って俺も車を降りた。
そしたら、コレだ。
荷物を投げられ、置き去り。
『えっ…』
「はっ?!アイツ何考えてんだよっ?!」
電話をしようとスマホをケツポケットから出したら、タイミングよく青士からLINEが届いた。
じっとその内容を見つめ、緩む頬をなんとか抑えようと奥歯に力を入れた。
紹介できる女友達なんて俺にはいないけど、上手くいったあかつきには、深雪の友達を…。
『えっと…大地さ…』
「青士からLINEきた。なんか、ソウルに戻ったみたいだよ?朱司さんにも連絡済みだって」
俺も困った、みたいに苦笑いした。もちろん、”フリ” だけど。
『え…じゃあ皇くんは青士を送って、またここに戻ってくるってことですか?』
だよな、そう思うよな。普通はさ。
「いや、朝ソウルで待ってるって」
『……え?』
風向きが変わったのか、冷気が多少の雪を舞い上げながら地下に入ってきた。
『………』
「え~っと……朝まで…いいっすか?」
“部屋” って意味を込めて、人差し指を上に向けた。
『……仕方ない…ですね…』
くるんと踵を返した彼女を、思わず抱きしめそうになった。そんな風に顔を赤らめて、少しだけ緩んだ口元を隠すように後ろを向くから。
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