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「祭りをやろう」
剣士は言った。
祈祷師は唖然とした。
「祭りだと」
「ああ。これまで長い間、この土地と竜神との関係を保ってきたのは、この村の人々だ。あなた方ではない。
だから土地の作法に則って、これから村の祭りをやる」
祈祷師は領主を振り向き、判断は領主に任せられた。
剣士は妖刀に手をやった。領主がびくりと身じろぎした。
剣士は、そばにいた村長に言った。
「この刀を預かっておいてくれないか。
それから、どこか落ち着いて話せる場所がほしい」
真に道理と竜神の意思に従いたいなら、今は刀を振り回す時ではない。
話し合うべき時だ。
そう考えて戻ってきた。
妖刀と呼ばれるが、水槌は決して血に飢えた刀ではない。
――むしろ、それは俺だった。
長い沈黙の後、領主は話し合いの申し出を承諾し、彼も村人に刀を預けた。
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