剣士と竜神

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 話し合いの結果、領主は剣士の意見を受け入れた。  祭りと聞いて、村人たちはたいそう喜んだ。  初めからそう言ってくれればよかったのに、と領主に言いたげでもある。 「我々はいつも水神様に舞をご奉納してまいりました。  領主様もぜひご覧になられてください。以前の」  と言いかけて、村人は口をつぐみ言葉を濁した。  領主は困ったように言った。 「よい。以前の領主殿は、そなたたちと一緒にその踊りを楽しまれたのだな」 「はい」  村人が申し訳なさそうに言った。  以前の領主と比べられることを、この新しい領主は嫌っていたのかもしれない。
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