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ー1ー
クルクルと、七色の光が回っている。暗闇の中、縦横無尽に光が踊る。
俺は走っていた。
何のためなのか、どこに行こうとしているのか――いや、ここがどこなのか?
何も分からないが、とにかく「逃げなければ」という焦りに突き動かされて、汗だくになっている。
キーーーン!
突然、航空機が離陸するような耳障りな騒音が鳴り響き、強力なヘッドライトに照らされたように、視界が白くなった。
「――あははは!」
「うわっ?!」
どっと沸いた笑い声に、全身がビクリと波打つ。
「じゃあ、CMでーす! ジャカジャカジャジャーン」
どこかで聞いたような軽薄な男の声に被さって、ノリのいい音楽が流れる。
あ、これって、昼の情報番組のジングルだ……。
「うるせー……」
右隣部屋の大学生、今日は休講か? 壁薄いんだから、テレビのボリューム下げろよな。
ゆっくりと目を開けると、ぼんやりと明るい。柔らかい光の色は、薄黄色。天井に、カーテンの隙間から忍び込んだ白い筋が1本。
「昼か……」
大きく伸びをして、ベッドから起き上がる。
「う……ダルい……?」
全身の倦怠感。風邪か……いや、熱はないみたいだ。
グル、ギュルルゥー
盛大に腹の虫が悲鳴を上げた。思わず「く」の字に身体を曲げてしまうほど、腹と背が近い。
「何か食うか……」
ベッドから出た途端、ガクンと尻餅をついた。
「いっ、てぇ……!」
信じられない。膝がガクガク笑っている。
何をやったら、こんなことになるっていうんだ?
だって、俺は部屋のベッドで眠っていたんだぞ。たった、今まで――。
オレンジ色のカーテンの隙間から漏れて侵入する、外の光を眩しく眺める。
肌に残る湿った形跡は、寝汗らしい。目覚める直前の夢に手掛かりを求めて、眉間を強く摘まんだ。
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