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 クルクルと、七色の光が回っている。暗闇の中、縦横無尽に光が踊る。  俺は走っていた。  何のためなのか、どこに行こうとしているのか――いや、ここがどこなのか?  何も分からないが、とにかく「逃げなければ」という焦りに突き動かされて、汗だくになっている。  キーーーン!  突然、航空機が離陸するような耳障りな騒音が鳴り響き、強力なヘッドライトに照らされたように、視界が白くなった。 「――あははは!」 「うわっ?!」  どっと沸いた笑い声に、全身がビクリと波打つ。 「じゃあ、CMでーす! ジャカジャカジャジャーン」  どこかで聞いたような軽薄な男の声に被さって、ノリのいい音楽が流れる。  あ、これって、昼の情報番組のジングルだ……。 「うるせー……」  右隣部屋の大学生、今日は休講か? 壁薄いんだから、テレビのボリューム下げろよな。  ゆっくりと目を開けると、ぼんやりと明るい。柔らかい光の色は、薄黄色。天井に、カーテンの隙間から忍び込んだ白い筋が1本。 「昼か……」  大きく伸びをして、ベッドから起き上がる。 「う……ダルい……?」  全身の倦怠感。風邪か……いや、熱はないみたいだ。  グル、ギュルルゥー  盛大に腹の虫が悲鳴を上げた。思わず「く」の字に身体を曲げてしまうほど、腹と背が近い。 「何か食うか……」  ベッドから出た途端、ガクンと尻餅をついた。 「いっ、てぇ……!」  信じられない。膝がガクガク笑っている。  何をやったら、こんなことになるっていうんだ?  だって、俺は部屋のベッドで眠っていたんだぞ。たった、今まで――。  オレンジ色のカーテンの隙間から漏れて侵入する、外の光を眩しく眺める。  肌に残る湿った形跡は、寝汗らしい。目覚める直前の夢に手掛かりを求めて、眉間を強く摘まんだ。
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