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執拗くついてくる北大路と一度も会話すること無く校門前まできた。そこにはいつもとは違う景色が広がっていて、まるでイベントでも開催されているかのような人集りがあった。
何かに気づいた人集りは猛ダッシュでこちらに向かってきた。俺の髪や服を揺らすほどの風と共に通り抜け、北大路を取り囲んだ。
「北大路! 我がソフトボール部に入部してくれないか」
「華麗な腕さばきを見たぞ、剣道部へ!」
「きっと、君の頭脳があれば将棋で全国大会で優勝できるよ! 将棋部に入部を頼む!」
他にもテニス部、野球部、柔道部、吹奏楽部、沢山の部長達が北大路の身体能力や頭脳を一目おいて、入部させようと勧誘している。
それでも何も返す言葉もなく歩いているから、思わず北大路の手を引っ張った。
「おい、どうすんだよ」
「え? ……なにが?」
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