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登校、授業と続き、今は6時間目に突入していた。真夏の太陽が鋭い光で攻撃してくる。自然と眉間にシワがより、みんなメンチを切っているような面構えだ。こちらにボールが飛んでくるのをただひたすらに待ち、時々顎に滴る汗を拭った。
しかし、ただ1人だけ暑さを感じさせない爽やかな男がいた。そう……ピッチャーの北大路怜だ。
真剣な眼差しで深呼吸をしたら力強く振りかぶった。――――ッパンとグローブにきまる音と共にストライクの声が響いた。
あぁ、何回目だろう。もう誰か打ってくれよと、外野すらも下を向く。地面に足で落書きするやつまでできている。
「笑っていられるのもここまでだぜ、北大路」
そう自信満々にバッターボックスに立ったのは菅原だった。野球部で一番の打率を誇りエースを背負っている。
「期待しても良いのかな」
北大路は再び振りかぶると、彼の言う通り綺麗にホームランが決まった。ボールが空をかけるのを目で追いかけ、ちょうど自分の所に落ちてくる。太陽の光が瞳に直撃する。
瞬きをした瞬間だった、顔に痛みが走ったのは。そのままバランスを崩して倒れた。訳が分からないまま、意識が遠のく。
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