2人の一方通行?リセットしたい晃くん

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 忘れさせてくれよ、何度も何度も過去を蒸し返すから苛立ちを隠せない。胸の中がぐちゃぐちゃ掻き回されて苦しい。目頭に涙が溜まって流れないように唇を噛んだ。 「そんな顔で言われても……信じられないよ」 「もう、どけって……!」  もう一度胸を押してみるけど、やっぱり動かない。北大路の顔を見上げると、冷たい目がそこにあって、押す手を止めた。 「じゃあ……思い出させてあげる」  北大路の手が俺の頬に触れた。優しくそっと確認するように、唇ををなぞった。 「お、おい……!なん――」  強引に唇が塞がれる。生暖かくて柔らかい感触が伝わってくる。一瞬の怯みが口を緩ませて、僅かな隙間から押し広げるように舌が口内に侵入してきた。    硬直した体の筋肉が使い物にならないくらい柔らかくなっていく。息継ぎなんてしてる間もないくらい、乱暴に吸うから、意識がふわふわとしてくる。
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