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「けど、嫌がってるようには……」
「何言ってるの。僕はただ、あきらくんの包帯を巻き直していただけですよ」
笑顔で嘘をつき、俺が解いた包帯を手にして、それが真実かのように振る舞う彼はまさに詐欺師の如く。
「そうなのか?」
北大路は片目を閉じて、こちらにアイコンタクトする。つまり話を合わせろという事だろう。確かに今の状態では話をややこしくするだけだ。
「そ……そうそう。おれ不器用だからさ……!」
なんで被害者の俺が嘘なんかつかないといけねぇんだよ。っと苛立ちを感じつつ仕方なく話を合わせる。祐介はしっくりきてない様子で「ほんとかよ」っと苦笑いした。
「で、体調はどうなんだよ」
「だいぶマシかな」
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