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「そっか。北大路サンだっけ? 後の面倒は俺が見るから」
そういって祐介は北大路に何かを耳打ちした。北大路は失笑した。
「何言ったんだよ」
「晃をよろしく言っただけだよ」
「なんだそれ」
俺の手をとって歩き出したから、引っ張られるようにしてドアへ向かった。保健室を出る前に振り向くと、北大路は変わらぬ笑みでこちらに手を振る。振り返そうとした自分に赤面した。
*
「痛いって」
祐介の表情は分からない、だけどずっと強く握るから熱と汗と圧力と。俺がどれだけ声をかけても届かない。どうしちまったんだよ……。
ちょうど靴箱の前を通りかかった時、振りほどこうと力を入れた。
「いてぇって。聞いてんのか」
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