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「そういえばさ、転校生の噂知ってる?」
途中までの話を切って、間宮が食い気味に話を持ちかけてきた。この感じだとずっと話したかった話題なのだろう。間宮は噂話が好きだからな。
「噂は知らない」
「俺もー」
祐介は興味なさげに返事をするが、間宮はお構いなく続ける。
「フランスからの帰国子女で、しかも……すごい美形らしいよ……!」
目にキラキラと星を浮かべて興奮気味である。この話を聞いて腑に落ちた。だから女子達はあんなに気合を入れていたんだな。
「へぇ」やっぱり祐介は興味ないようだ。
「しかもね、運動も勉強も優秀らしい」
「なにそれ無敵じゃん」
「そりゃー女も気合入るわな」
間宮はさらにもう一段階声を張り上げて、一文字ずつはっきりと話し出した。
「そうなの……! でもさ、そんな人がなんでこの高校を選んだのか気にならない?」
「親の仕事の都合とかじゃないの」
「ちっがうんだよ! 彼は社長の息子なんだ。しかも学力もある。学校なんて選び放題だよ」
「確かに、偏差値低めだしなここ」
「実はね、ロマンチックな―――」
間宮が言い終わる前に予鈴と共に先生が教室に入ってきた。
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