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二限目の国語。あくびをひとつ、このまま寝てしまおうかと窓を眺めていたら突然名前を呼ばれた。
「……」
「蒼井、何ぼーっとしとる。聞いとるのか」
呆れるように先生は指摘する。答えはNOだ。授業が始まってから、何も考えてない。先生の話し声は心地よいBGMのように睡眠導入曲として作用していた。
先生は何も答えない俺に痺れを切らして、チョークを置いた。
「じゃあ、この漢字を書いてみなさい」
教科書に載っていた、『糸をツムグ』の書き問題を突然出された。ダルさを隠せない俺はため息を吐いて席を立った。
もちろん分からない。何でいきなり漢字テストしなきゃいけねんだよ。クソだりぃな。っと愚痴を漏らして黒板の前まできた。
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