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北大路の息が耳にかかってくすぐったい。脈が早くなって正直漢字どころではない。背後から女子達の歓声が聞こえてくる。
チョークはゆっくり動き出す――――。
「部首はこう……」
「しゃ……しゃべんなくていいって」
「説明しないと分かんないでしょ」
だから、耳元でしゃべんなあ……! 絶対いま、顔あかい。絶対振り向きたくない。
「っしょ……はい、できた。覚えた?」
「お、覚えた……覚えたから……!」
「どうして、怒ってるの?」
笑いながら不思議そうにこちらを除きこむから余計に腹が立って、顔色を誤魔化すように睨みつけて振り返った。そして北大路から逃げるように、その場から離れた。
ポカンと目を丸める北大路は、先生に褒められた後、席に着いた。落ち着け……おちつけ、じぶん…! 何こんな事で取り乱してんだよ。顔をペちペち叩いてたら、藍と目が合って笑われた。
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