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会いたかった?フランスからきた帰国子女
――今日は何だか騒がしいな。
そう感じたのは、二階に上がってすぐの事だった。廊下で戯れる女子達は、手に鏡を持って前髪を整えていたり、口紅を塗っていたり、いつも以上に身なりに気を配っている。
このイベント並ならぬ空気感に違和感を感じながら二年三組の扉を引いた。すると、今までの違和感が確信に変わった。何故なら教室内が一つの話題で盛り上がっているのが一目で理解できたからだ。しかし転校生が入学してくるだけで、こんなに盛り上がるものかと不思議に思った。
自分の席に着いたところで、手にしていた鞄を机横のフックにかけた。しばらくして、普段行動を共にする立花祐介と間宮藍が声をかけてきた。
「あきらちゃん、おはよ」
あきらちゃんとは蒼井晃の名を持つ俺の事。祐介は俺の事をちゃん付けで気まぐれに呼ぶ。この呼び方を何度もやめろと注意をしても、絶対にやめない。
大人になれない俺は毎回突っかかってしまって、余計におもちゃにされてしまう。なにより、祐介とは20cmも身長の差があって、会話をする度に見下げられて劣等感を感じる。つくづく世の中は不公平だと思うよ。
「ずっとその髪色だけど、先生に怒られねぇの?」
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