~第壱幕~

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それから翔次はゆっくりと振り返りながら刀を鞘に納めていると、その様子を柊はジッと見詰めている。 相変わらず表情は皆無だが、何故か翔次の顔を見詰めたまま目を離さない。 それに対し翔次の方が先に目を逸らすと、柊はまた静かに小さく口を開いた。 「お父さんを…探してる…」 「あぁ…?」 それに反応して翔次はまた柊の顔に目線を戻すと、柊は変わらない表情のまま、口調も無機質に淡々とした様子で続ける。 するとその時、 「お父さんが……」 「……!!」 突然柊の目から一粒の雫が滴った。 表情は尚も無表情なままなのに涙だけを流す柊に対し翔次は何かを感じる。 何故か幻妖に狙われている事も、人形のように表情が無い事も、父親の事も……何かしら事情があると悟った翔次は、耳を傾けてやった。 「話くらい聞いてやる…」
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