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自身は知らない間に、会って間もないまだ名も知らない男性に護られてしまっていたと気付いた柊は、気まずさから不意に俯くが、しかし一方の翔次はまるで疲労の様子さえ見せない。
実はこれも翔次にとっては日常茶飯事で、久神は普通の人間よりも体力が優れており、その中でも翔次は更に平均より優れ、二ヶ月近く不眠不休でも全く問題が無いらしい。
「とりあえず……家まで送ってやる」
「……」
少なくとも女子高生が一晩も帰らないというのは不味い為、翔次はすかさずそう提案するが、しかし柊は無言のまま首を横に振る。
「どうした…?」
「帰りたくない…」
絞り出すように漸く口を開く柊に対し翔次は、もう何も言わない。
「あのね……」
「……?」
暫く沈黙が続いた後、柊は遂に口を開いた。
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