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柊はやっぱりと言わんばかりに口を紡いで踞るが、一方で翔次は最後に一言だけ付け加えた。
「幻妖なら、な…」
「……!!」
それから暫く、二人は行動を共にした。
繁華街はやはり人通りも多く目立つ為、先頭を進む翔次の足は無意識に自然と街外れへと向かっており、柊も小走り気味にそれを追う。
繁華街から一駅程の距離を進んだだけでも人通りは大分少なくなり、四方何処を見渡しても景色を一望出来るくらいには建物等も少ない。
駄々っ広い道を二人は沈黙のまま縦に並んで進んでいると、そんな沈黙を破るように先に口を開いたのは柊だった。
「あなたは誰…なんで私を護ってくれるの…?」
柊はふと、まだ翔次の名前すらも聞いていない事を思い出し、すかさずそう尋ねる。
「俺は"翔次"…幻妖を斬り歩いているだけだ…」
それに対し翔次は無愛想にそう返すだけだが、しかしそれは少し違うと柊は無意識に思った。
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