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翔次は尚も退屈そうに背凭れに全体重を預けて寛ぐだけで水すら口にしない。
そんな翔次を気にしつつも柊はゆっくりと食事を続けながら、
「あの…良かったら…」
「……?」
若干手を震わせながら小袋を取り出し、両手を添えて差し出す。
実はこれは、ついさっき買ってきた翔次へのプレゼントだった。
「…いらねぇ…」
しかし翔次は無愛想に目も向けずにそれを受け取らず、面倒臭そうに拒否する。
それに対し柊は表情すら変わらないものの少し落ち込んだ様子で小さく俯き、差し出した手を引っ込めた。
柊なりに翔次にお礼がしたいと思ったのだが、余計なお世話だったのかと思い、少なからずショックを受ける。
そんな柊に対し翔次はまた面倒臭さそうに舌打ちしながらバッと立ち上がり、
「貸せ……!!」
「え…!!」
柊が握り締めたままだった小袋をぶっきらぼうに強引に取り上げ、そのまま会計だけさっと済ませて店を出て行ってしまった。
一人残された柊は、思わず口元がほんの微かに緩む。
「不器用…でも、凄く優しいひと…」
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