~第壱幕~

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翔次はすかさず四方を見回すと、 「きゃあぁぁぁ!!」 「…!!」 突然頭上から若い女性の悲鳴が聞こえると同時にガラスが割れる音が響き渡り、一瞬遅れてその破片が頭上から降り注いだ。 また更にそれから一瞬遅れ、同じ方から深く傷付いた若い男性が落下してきて地に叩き付けられ、翔次は咄嗟にそれをかわして跳躍する。 しかし一歩間に合わず、たった今割れた小さなビル二階のとある店の窓から異形が飛び出し、入れ違いで翔次はそこで着地した。 「…ちっ、逃げ足が早い…!!」 久神の身体能力は人間を遥かに凌駕し、脚力だけでも軽く跳躍しただけで二階まで軽々と届く程。 信じ難い光景の連続に、先程悲鳴をあげたであろう若い女性はあまりの恐怖により腰が抜けて引き吊った表情を浮かべているが、そんな女性に対し翔次は冷静に低い声色で言葉を投げる。 「さっきの男は無事だ、知った顔ならさっさと連れて行け!!」 それを捨て台詞に翔次はすぐさま飛び出した。
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