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柊がそんな雰斗に気を取られている隙に、その背後から一体の幻妖が襲い掛かろうとしていた。
「……ッ!!」
ふとそれに気付いた時、柊はもう逃げる事すら間に合わないが、
「おらおらおらぁ!!どけどけどけぇ!!」
突然そこへ現れた、極度に鍛え上げられた肉体を見せ付けるかのように胸元をはだけさせた、無精髭を生やし葉っぱを加えたワイルドな青年が、携えた日本刀の切っ先でその幻妖の急所を確実に貫いて討ち取る。
「伏せや鉄!!邪魔じゃけぇ!!」
更にその鉄と呼ばれた青年の肩を踏み台代わりにして高く跳躍するまた別の青年は、気付かぬ間に天から集団で襲い掛かってきていた数体の幻妖を、両手に持った十文字槍で纏めて薙ぎ払った。
「邪魔はおんしぜよ雹!!こいつらぁ皆俺の獲物じゃきに!!」
アメカジ風な装いで細目で朗らかな表情の青年…雹虎は槍の使い手らしく、そんな雹虎に対し鉄は血気盛んなのかすかさず声を荒げて反論する。
あまりに圧倒的な強さの男達が瞬く間に集合した事で柊は驚きと戸惑いから硬直していると、
「こいつら全員、翔次の仲間だ。だから安心しろ」
「…………!」
すかさず裕紀が、フッと笑みながら口を開いた。
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