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下半身は地下に沈んだまま、地上に露出した上半身だけでもビル程の高さを誇る巨体のヨシツネだが、不幸中の幸いか左腕は既に切断されている。
そんなあまりに巨大なヨシツネと対峙する五人の後ろ姿を、柊は両手を合わせて握りしめながら見守っていた。
「鬼殺羅流二十五式……!!」
真っ先に仕掛ける翔次は、両手を添えた刀の切っ先をヨシツネに向けてまっすぐ向ける。
「陽炎!!」
その刀身からはまるで火炎放射器のように凄まじい業炎が放出されるが、それに対しヨシツネがバッと翳した掌で軽く受け止め、更に握りしめてあっさりと消滅させた。
その業炎によりほんの一瞬ヨシツネの視界から五人の姿が遮られ、それが消滅した瞬間、翔次以外の四人がいつの間にか姿を消す。
ヨシツネは不意に左右を見回すと、
「俺の前で余所見とは余裕だな…」
「……!!」
そんなヨシツネを挑発するかのように、翔次は構えを変えた。
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