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その瞬間、翔次を中心に四方はまるで一瞬にして凍り付いたかのように静まり返る。
そのたった一秒にも満たないほんの一瞬が、その場にいた誰もが数秒と長く感じる程の刹那が過ぎた直後、世界が変わった。
「息が、出来ない……!!」
翔次の全身からは、ヨシツネにも劣らない程の強大な妖気と殺気を放ち、更に手に携えた刀の刀身に纏った炎も妖気が混じって漆黒に染まる。
その光景により近くで見守っていた柊は、あまりの恐怖により息が止まり、涙さえ浮かべていた。
「俺が暴走したら…ちゃんと止めろよ…!!」
そう言って翔次は、ゆっくりと視線をヨシツネの顔に向け、勢いよく跳躍する。
「鬼殺羅流無式…!!」
漆黒の妖炎を纏った刀を頭上で振るい、それはまるで花弁のように舞い上がり、その一つ一つが刃となって一斉にヨシツネに襲い掛かった。
「閻魔蟋蟀!!」
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