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その日の夜に、呂斗は自宅に帰らなかった。
姉の八瀬は、両親が亡くなってからは弟の呂斗の面倒を見ていた。
「おかしい、呂斗が連絡して来ないのは初めてだ、何かあったにちがいない」
学校に問い合わせたら、すでに下校したと言われた。
友達の山本君に電話を掛けて聞いた。
「呂斗君は、星未来の車に乗り何処かに行きました」
との情報を得た。
星未来に電話を掛けて聞いたら、夕方に帰ったと答えた。
警察に捜索願いを出したが、やはり星が怪しい。
調べてみると星一輝は裏でヤバイ仕事をして儲けている。
政治家にも顔が利くから、警察に話しても揉み消されるかもしれない。
(仕方がない)
八瀬は地下室に降りて、忍び装束に着替えた。
両親が亡くなる前に熊野流忍術の宗家の認可を受けた。
熊野流は忍び体術、柳生流に近い剣の扱い方をする、さらには陰陽術も心得て式神も使う。
忍び装束は、最新式に変えた、防火、防水、防弾機能も備えて有る。
背中に忍者刀、帯にはクナイと手裏剣、忍び道具を吊るした。
庭に出て手で印を結び呪文を唱える。
すると池の中から何かが這い出して来た。
わりと大きい。
「お呼びですか、八瀬様」
父親の代から仕えて来た式神の風猫だ、姿は人間に変わった。
普段は猫の姿で寝ているか、池の中でナマズの姿になったりしている。
「今から行方不明の呂斗の行方を追う」
「心得ました」
八瀬は星の屋敷に向かう。
星の屋敷の塀前に来た。
ピョンと塀を飛び越えた。
「風猫、庭の番犬を頼む、しかし殺すな眠らせておけ」
「はっ」
八瀬は森の中を走り、屋敷の屋根に上がり、バルコニーに降りて中に忍び込んだ。
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