公爵令嬢、家を出る

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公爵令嬢、家を出る

 私が解体ギフトを授かってから1年が経過した。  予想通りというか覚悟はしていた、というか周りの目は厳しかった。  社交パーティーに出ても好奇な目で見られ遠ざけられるようになりお茶会にも呼ばれなくなった。  優しかったメイドや使用人にも腫れ物扱いされる様になった。  両親との関係もやっぱり壁が出来た。  特に母は妹のレイシアを可愛がるようになり寂しくなった。  それでも父は私を気遣ってくれた。  私は父と一緒に狩りに出掛ける様になりそこで『解体』を使う事が出来た。  私の頭の中に解体の手順が浮かびその通りの様にナイフを片手にやっていくと綺麗に解体出来た。  父は『こんなに無駄無く綺麗に出来るとは······』と驚いていた。  私が男だったら嬉しいと思うんだけど何か複雑······。  そしてレイシアがギフトを授かる日がやってきた。  私はその日は部屋にいたんだけど、メイドや使用人がバタバタしながらレイシアが聖女のギフトを授かったのを知った。  ······この世に神なんていない、と思った。  その日の夜は盛大なお祝いが行われたけど私の心の中は空っぽだった。  完全に我が家の中心はレイシアになった。  私の居場所なんてこの家にはもう無かった。 「お父様、私を勘当してください」 「······えっ? ソ、ソフィア何を言い出すんだ?」 「もう、この家に私の居場所はありません。レイシアもギフトを授かったのを機に私はギフトを生かせる場所を探したい、と思っております」 「しかし、勘当しなくても······」 「今後、私がレイシアの経歴に影を落とす可能性は充分あります。ローラント家の栄光の為には私は必要ありません」  自分で自分を否定するのは悲しかった。  しかし、1歩を踏み出す為には公爵令嬢という肩書きはいらなかった。  それに母がひそかに私を切り捨てようとしている事を知っていた。  私を何処かの男爵とかに嫁がせよう、としている事をメイドの噂話から聞いた時はショックだった。  もう私は母に愛されていない事を感じた。  だったら私から棄てる事にした。  私の貴族としての最後のブライドであり抵抗だった。 「そうか······、わかった。お前を護れなくて申し訳ない」  そして、翌日に荷物を纏めて家を出た。  と言っても国を出る訳じゃないので、私はそのまま王都にある小さな家を借りた。  家を出る、と決めてから私は物件を探し1人暮らしにピッタリな家を見つけ契約した。  その足で私は冒険者ギルドに行き冒険者登録をした。  名前もソフィアから『ソフィ』にした。  長かった髪の毛もバッサリ切った。  こうして私は人生の再スタートを切ったのだった。
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