#9「真紅の薔薇」

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「ルカちゃん……ッ!!」 血夜来の叫び声。 駆け寄るまでもなかった。 彼女の死は明白だった。 僕たちはその場に立ち尽くすことしか出来なかった。 「おい、これって……これってヤベえんじゃねえか……マジでヤベえんじゃねえか……」 デス子はそう言って自分の首に巻かれたドカンちゃんに触れてみる。 辺芸子、磯烏、鬼瓦、黒幕もお互いの首を確認し合う。 脳裏に浮かぶキスラビットの言葉。 彼は言っていた。僕たちに一番最初に説明していた。 ―――学園ミッションに失敗してしまうと、全員のドカンちゃんが…ドカンと致しますので、その点はご了承ください――― ルカが死んだ……つまり、僕たちの学園ミッションは失敗に終わったのだ……。 『ビー!……ビー!……ビー!……ビー!……』 その音はさも当然のように鳴り始めた。 誰のものから……確認するまでも無い。 その音はお互いに共鳴し合うように、複数の場所から同時に発せられていた。 ここにいる僕たち全員のドカンちゃんから同時に。 「おいおいおいおいおいッ!! これって……これって、どうすんだよッ!!」 デス子が僕の胸ぐらを掴んで、そう言った。 助けを求めるように、怒りをぶつけるように。 でも、僕にだってどうすればいいかなんて分からない。 「(ぜっ)(たい)(ぜつ)(めい)!! 俺たちはここで果てるしかないのかッ!?」 「でも、何か手が……」 血夜来は忙しなく辺りを見回す。 でも、こんな廊下に僕たちの救いになるようなものなんて存在するはずもなく、彼女は直ぐに理解する。 もう自分たちが死ぬしかないことを……。 「何か手が……手が……手はもう無い……」 絶望と、死への恐怖。 鳴り止まぬ警告音が僕たちを追い詰める。 僕の胸ぐらを掴むデス子の手から力は抜け、重力に大人しく従うように、ブランと肩からぶら下がる。 これは全部、僕のせいだ……。 「全部……僕のせい……」 僕があの時、ルカとのキスを断らなければ、僕たちは学園ミッションをクリアすることができた。 みんな死ぬことになんかならなかった。 全部、全部、全部、僕のせいだ……。
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