#9「真紅の薔薇」

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「……乙木」 横にいたミカンが僕の手をギュッと握りしめてくれる。 暖かな体温が、僕の冷たい手を包み込む。 でも、この感触もこれで最後かと思うと、残酷なまでに、全てが悲観的にそう思えた。 『皆様、学園ミッションの失敗、とても残念です』 廊下に響くキスラビットの声。 誰ももう、反論する気力なんて存在し無かった。 『あと一歩でクリアだったのですが、とても残念です。しかし、皆様はご存知でしょうか? ゲームには”コンテニュー”というものが存在することを?』 コンテニュー……? 『そうです、これはデスゲーム……所詮はゲームなのです。つまり、コンテニューも可能ということです』 「じゃあ……ッ!!」 力無く項垂れていたデス子が顔を上げる。 『ええ、やり直しは可能です』 「マジかよ……」 「皆様は選択することが出来ます。もう一度やり直し、失敗した学園ミッションを今度は成功されるか、あるいはこのままゲームオーバーの道を選ぶかを!!」 「そんなの決まって――――」 『しかし、忘れてはいけません。コンテニューには《代償》が必要だということを……』 代償……やっぱりそうだ。 失敗したからやり直せる、そんな都合の良い話なんて存在するはずがなかった。 『ゲームセンターに設置されたゲーム機、そこでコンテニューするためには、お金を支払う必要があります。コンテニューには代償が付き物なのです』 「ねぇねぇ、ウサギン、ウサギン。その代償って、一体なんなのかなー?」 辺芸子の質問にキスラビットは低く笑う。 まるで、僕たちの中に芽生え始めた希望を打ち砕くように。 そして、彼は答える。その代償を。 『それは簡単です……』 ―――この中の誰かの命です――― -※-※-※-※-※-※-※-※-※-※-※-※-※-※-※-
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