#9「真紅の薔薇」

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人が死ぬ……そんな当たり前のことに、いちいち動揺なんてしていられない。 死んだ人間のことを、後悔し、嘆いたって、意味なんてない。 でも、今回ばかりはそうもいかなかった。 血夜来は僕の代わりに、自ら死を選んだ。 みんなを助けるために、僕なんかを助けるために……。   「なんでだよ……」 誰も何も言わなかった。 珍しく、ここにいる全員が、血夜来の死を憂いていた。 そして、沈黙が僕たちに気づかせる。 僕たち全員のドカンちゃんの警告音が、鳴り止んでいることを……。 ―――それでは、再起動を実行致します――― 廊下に響くキスラビットの声。 それと同時に『プシュッ』と、空気を吐き出すような音が、首元から微かに聞こえたような気がした。 針で刺されたような痛みが首に走る。 その後は、暗闇だった。 僕の意識は途切れ、そこで完全に失われた。 まるで、ゲーム機のリセットボタン押したかのように、一瞬で呆気ない出来ことだった……。
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