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人が死ぬ……そんな当たり前のことに、いちいち動揺なんてしていられない。
死んだ人間のことを、後悔し、嘆いたって、意味なんてない。
でも、今回ばかりはそうもいかなかった。
血夜来は僕の代わりに、自ら死を選んだ。
みんなを助けるために、僕なんかを助けるために……。
「なんでだよ……」
誰も何も言わなかった。
珍しく、ここにいる全員が、血夜来の死を憂いていた。
そして、沈黙が僕たちに気づかせる。
僕たち全員のドカンちゃんの警告音が、鳴り止んでいることを……。
―――それでは、再起動を実行致します―――
廊下に響くキスラビットの声。
それと同時に『プシュッ』と、空気を吐き出すような音が、首元から微かに聞こえたような気がした。
針で刺されたような痛みが首に走る。
その後は、暗闇だった。
僕の意識は途切れ、そこで完全に失われた。
まるで、ゲーム機のリセットボタン押したかのように、一瞬で呆気ない出来ことだった……。
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