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#10「青い転校生」
【☓月☓☓日(☓) 午前8時50分 / 1年B組教室】
―――キーンコーンカーンコーン―――
どこか遠くで間の抜けた阿呆っぽい音が響いている。
つい最近、聞いた覚えのある音。
「……って、あれ」
気がつくと僕は教室の中にいる。
机に突っ伏して眠っていたわけでなく、背筋を伸ばし着席していた。
目の前には見慣れた1年HELL組のみんな。
みんなも僕と同様に席に行儀よく座っているが、どうやら僕同様、状況を理解できていないみたいで辺りを不思議そうに見回している。
「ここは……?」
誰に言うでもなく僕は呟いた。
この場所には見覚えがあった。
そうだ、ここはあのラブリーキスキス学園とかいうふざけた学園の教室。
1年B組……いや、似ているけど少し違っていた。
確かに部屋自体はあの時の教室と全く同じだった。
でも僕たちが座っていたのは、あの時とは違い、ただの椅子ではなかった。
目の前にあったのは、ただの机ではなかった。
僕たちは《解答者席》に座らせられていた。
「なんだ……これは?』
誰かが呟く。
一人にワンセットずつ用意された、丸椅子と大きなボックス。
ボックスには黄色のボタンと、タッチパネル式のモニターが付いていた。
隣のボックスのモニターは覗けないように、ボックスには簡単な仕切りまで付いている。
まるで、クイズ番組の解答者席のようだった。
それが、黒板側の壁を除いた『コ』の字の形で教室内に配置されており、僕たちはそこに着座していた。
ちなみにボックスに付いているモニターは暗転しており、今のところ操作はできそうになかった。
そして、ボックスの正面には、まるで番組のロゴを記すかのように、こう書かれていた。
―――デッドリーデスデス学園―――
何十時間も寝ていたかのように、頭が霞がかって上手く思考が回らない。
でも、僕はこの場所を知っている。
いや、知っているけど少し違う。
デジャブ……あれは夢だったのか?
一瞬そう思い、辺りを見回す。
血夜来は……!!
絶望する。
教室にはマーガリートと血夜来の姿は無かった。
そして、思い出す。
僕たちが”コンテニュー”したことを……。
「あのときと同じ……いや、少し違う……ゴホッ、ゴホッ」
磯烏が呟いた。
どうやら、記憶が残っているのは僕だけではかなったらしい。
少しだけ安心する。
「つまり、コンテニューには成功したみたいだな……」
困惑しながら、鬼瓦も続く。
僕たちはコンテニューした、血夜来の命を代償に……。
教室の壁にかかった時計を確認する。
時刻は8時50分……前回と全く同じ時間、外の景色も変わらない。
教室内の光景こそ違うものの、まるで同じ時間を繰り返しているようだった。
「そうだ……!」
僕はすぐ近くに座るミカンに声をかける。
「体は大丈夫か?」
前回、ミカンは磯烏の『KKK』によって体が動かせなくなってしまっていた。
感覚としては廊下で意識を失ってから、ここで目が冷めるまでは、一瞬の出来事。
映画の場面が切り替わるように、本当に一瞬でこの場所に移動したような感覚だった。
だから、ミカンの体が元に戻っているか心配だった。
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