48人が本棚に入れています
本棚に追加
「おおっと!一体何が起こったのでしょうか!?」
ミトの驚きの声が会場に響く。
それも無理はない。
自慢の鼻と首で猛威を振るっていたパオとラフが、突然、揃って倒れたのだ。
「天然のは慣れとんかもしれんけど、人工の毒は抗体が出来とらんみたいやな」
倒れる2匹の動物を眺め、架純が言い放つ。
「ちょっと。あちきの体で、低俗な口調はやめてって言ったでありんす」
その背後に、もう一人の架純が出現し、膨れっ面で注意を始めた。
先にいた架純が「すまんすまん」と詫びを入れる。
一体なにが起こっているんだと、観客たちは揃って首を傾げた。
順に解説すると、試合開始の時点で、平吉の姿をしていたのは架純の『ハニーポット』による偽物であった。
して、架純の見た目をしていたのは、ハニーポットの殻を被った平吉であった。
平吉イン架純は、攻撃を避けつつ、パオとラフにそれぞれ接触。
これにより『キャッシュポイズニング』の条件を達成。
それからは、本物の架純と共に姿を隠し、毒の調合に勤しんだというわけだ。
して、2人に注入した毒とは、
「どうや、相棒と記憶を入れ替えた気分は」
パオとラフ、お互いの記憶であった。
最初のコメントを投稿しよう!