48人が本棚に入れています
本棚に追加
ダイルの猛攻がすぐそこまで迫り、李空と京夜は仲良く後ろに飛びのく。
しかし、その先には、
「まってたぜええ!」
ジルジルと涎を垂らす、ゴーラが待ち構えていた。
そのただならぬ「気」に、李空と京夜は空中で身をよじり、ゴーラへの警戒を示す。
しかし、
「『ゴリラリアット』!!」
その行為を待っていましたと言わんばかりに、振り返った二人の首元めがけて、ゴーラの両腕が炸裂。
ラリアットの要領で叩きつけれた二人は、そのままダイルの方へと吹き飛ばされる。
「ゴーラ!ナイスパス!」
獲物が自ら飛んでくる形となったダイルは、嬉しそうに口を大きく開いた。
(くっ!どうすれば・・・)
このままでは、仲良くダイルの胃の中である。
仮に二人がこのまま食べられると、残りの試合はどうなるのだろうか。
不戦勝となり、陸ノ国の勝利になってしまうのだろうか。
ダイルの口までの飛行時間で、李空はそんなことを考えていた。
国の勝利を第一に考えるならば、この試合は棄権し、手負いのチームと闘った方が得策ではないか。
デメリットもない。勝算も高い。絶対にそうすべきだ。
冷静な脳がそう判断する。
しかし、李空の口はそう動かなかった。
男とは、特に勝負に身を置く漢とは。
無駄にプライドが高く、すぐ先の勝利にしか目がない。
なんとも不器用な生き物なのである。
「京夜。頼む」
「わかった」
ダイルの口まで残り数センチ。
京夜が『ブラックボックス』を発動。
その大きさは、リングを覆う特大サイズ。
リング上の4人を、綺麗さっぱり呑み込んだ。
試合内容を完全に隠してしまう黒い箱の出現に、観客からは大量のブーイングが降り注いだ。
最初のコメントを投稿しよう!