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「何が起きた・・・」
突如訪れた360度の暗闇に、ゴーラは疑問を口にした。
普段の生活から夜闇は慣れているが、この暗闇は毛色が違う。
どこまでいっても闇。一向に目が慣れないのである。
ゴーラは早々に視覚を捨て、残りの感覚を研ぎ澄ます。
自然界で過ごした今までが、ゴーラに最適の選択を促したのだ。
が、もう一人の選手。ダイルはそうもいかなかった。
なぜなら、闇に呑まれるよりも前から、彼はパニック状態であったからだ。
「イタっ!」
ゴーラの脇腹を何かが噛み付いた。
その感触から、ゴーラはその正体に気づく。
「ダイル!非常時こそ冷静たれといつも言ってるだろ!」
苦悶に満ちた顔を浮かべるゴーラの悲痛な叫びは、闇に吸収され、ダイルには届かない。
まあ、届いていたからといって、パニック状態のダイルが大人しくなったかは定かでないが。
「っ!今度はなんだ!?」
ゴーラが叫ぶのも無理はない。
自らの体が180度回転したのである。
一体どういった原理か。重力をまるで無視し、ゴーラの体は宙吊りの状態にあるように回転する。
その拍子に、噛み付くダイルの顎も外れた。
「またか!?」
「ぐわあああああ!」
息つく間もなく、ゴーラとダイルの体がぐるんぐるんと回る。
ふたりは為す術なく、闇の中を転げ回った。
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