VS ROKUNOKUNI ROUND3

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「解除」 巨大な黒い箱が収縮し、ゴーラとダイルの巨体がそれぞれリングに打ち付けられる。 「解除」 次いで姿を見せた白い箱がゆっくりとリングに着地し、それと同時にパッと消えた。 その中から現れた李空と京夜が、目を回してリングに横たわるゴーラとダイルの元へと歩み寄る。 「どうします?まだ続けますか?」 李空にそんな風に言われたゴーラは、相方のダイルの方に目を向けた。 そこには、パニックを拗らせて真っ赤から緑に戻った、すっかりのびきった状態のダイルの姿があった。 ゴーラはふうっと息をつくと、李空に向けて手を差し出した。 「いや、どうやら完敗みたいだ。お前らいいペアだな」 ゴーラの手を一瞥し、李空は改めて口を開いた。 「ありがとうございます。最後に一ついいですか?」 「ん?なんだ?」 「光を失った目を治す才に心当たりはないですか?」 「すまないが聞いたことないな」 「そうですか」 李空は残念そうに首を振ると、差し出したままだったゴーラの手を取り、握手を交わした。 「試合は俺たち陸ノ国の負けだ。仲間の無礼も詫びよう。それから、俺たちに賭けていた貴族の野郎共。残念だったな」 ふらふらとした足取りながらも高らかに笑いながら、ダイルを担いで、ゴーラはリングを降りていく。 「おおっと!ゴーラ選手が敗北を認めた模様。よって、『TEENAGE STRUGGLE』第七試合の勝者は・・・いちのくにいいいいいい!!!」 ミトのアナウンスを受け、会場を割れんばかりの声援が包み込む。 「くっ・・・」 ゴーラの大きな背を見送っていた李空が、張り詰めていた糸が切れたように倒れそうになる。 『DMZ』の運用は、見た目以上に繊細で、相応の集中力を必要とするのであった。 「おっと」 「京夜・・」 すかさず京夜が肩を貸し、李空は安心したようにそのまま体重を預けた。 「ありがとな。お前のおかげで俺は・・」 「・・・京夜?なにか言ったか?」 「いいや、なんでもない」 「そうか・・・」 限界に近い李空をベンチの方へと引き連れながら、京夜は優しい笑みを溢した。
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