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「解除」
巨大な黒い箱が収縮し、ゴーラとダイルの巨体がそれぞれリングに打ち付けられる。
「解除」
次いで姿を見せた白い箱がゆっくりとリングに着地し、それと同時にパッと消えた。
その中から現れた李空と京夜が、目を回してリングに横たわるゴーラとダイルの元へと歩み寄る。
「どうします?まだ続けますか?」
李空にそんな風に言われたゴーラは、相方のダイルの方に目を向けた。
そこには、パニックを拗らせて真っ赤から緑に戻った、すっかりのびきった状態のダイルの姿があった。
ゴーラはふうっと息をつくと、李空に向けて手を差し出した。
「いや、どうやら完敗みたいだ。お前らいいペアだな」
ゴーラの手を一瞥し、李空は改めて口を開いた。
「ありがとうございます。最後に一ついいですか?」
「ん?なんだ?」
「光を失った目を治す才に心当たりはないですか?」
「すまないが聞いたことないな」
「そうですか」
李空は残念そうに首を振ると、差し出したままだったゴーラの手を取り、握手を交わした。
「試合は俺たち陸ノ国の負けだ。仲間の無礼も詫びよう。それから、俺たちに賭けていた貴族の野郎共。残念だったな」
ふらふらとした足取りながらも高らかに笑いながら、ダイルを担いで、ゴーラはリングを降りていく。
「おおっと!ゴーラ選手が敗北を認めた模様。よって、『TEENAGE STRUGGLE』第七試合の勝者は・・・いちのくにいいいいいい!!!」
ミトのアナウンスを受け、会場を割れんばかりの声援が包み込む。
「くっ・・・」
ゴーラの大きな背を見送っていた李空が、張り詰めていた糸が切れたように倒れそうになる。
『DMZ』の運用は、見た目以上に繊細で、相応の集中力を必要とするのであった。
「おっと」
「京夜・・」
すかさず京夜が肩を貸し、李空は安心したようにそのまま体重を預けた。
「ありがとな。お前のおかげで俺は・・」
「・・・京夜?なにか言ったか?」
「いいや、なんでもない」
「そうか・・・」
限界に近い李空をベンチの方へと引き連れながら、京夜は優しい笑みを溢した。
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