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祭りのような騒ぎの中、李空は目を覚ました。
「ここは・・・?」
「叔父さんの家だよ」
李空の疑問に答えたのは、京夜であった。
なるほど、ここは弐ノ国戦の後にお世話になった墨桜邸であった。
どうやら宴会の最中のようで、京夜の叔父にあたる次郎が「おかわり!」と空になったジョッキを掲げている。その妻にあたる住子は「飲み過ぎですよ」と冷たい視線を送っていた。
辺りを見渡すと、壱ノ国代表一行の姿も見えた。
「やっぱり海の恵みは最高だっぺな〜」
「だべな〜」
見事綺麗に捌かれた活け造りを摘みながら、海千兄弟が楽しそうに会話している。
「もう、『ウォードライビング』を魚の運送に使うなんて・・」
「まあまあ、そんな細かいことは言いっこなしだっぺな。魚は新鮮さが一番だべ」
「んだんだ。こんなこともあろうかと『サイポイント』をうちに付けといて良かったっぺな」
美波の両肩を叩きながら、海千兄弟が宥める。
美波は膨れっ面のまま刺身を頬張ると、もぐもぐしながら黙ってしまった。
どうやら、魚の美味しさが怒りを上回ったようである。
「ほら、平ちゃん。あ〜ん」
「架純。人前でそういうのやめえ言うとるやろ」
「あら。人前やなかったらええいう意味?」
「かあ〜、めんどい女やで」
箸で掴んだ刺身を差し出す架純と、それを拒む平吉があれやこれやと言い合っている。
そんな2人を眺めながら、
「リア充が滅びれば世界に平和が訪れると思うんだ」
と、魂の抜けきった顔で卓男が呪詛の言葉を口にしていた。
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