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「みちる。李空と京夜の試合どうだった?」 「・・・正直すごかったえ〜る」 「負けてられないあ〜る!」 みちるの左手は項垂れ、右手はやる気を見せている。 「よし、その意気だ!次は頼むぞ!」 身体の調子が戻ってきたみちるの肩を叩き、剛堂が激励を送った。 勝利に沸く者。次の試合に意気込む者。いつも通り騒ぐ者。 いろいろな顔を眺めて、李空は笑った。 「どうした李空?」 「いや、なんだか可笑しくてな」 的を得ない回答に、京夜が頭上に疑問符を浮かべる。 5年前。 あまりにも不平等で無慈悲な神の采配によって、李空の夢は呆気なく潰えた。 己の運命を呪いながら、落ちこぼれとして生きてきた少年の世界は、ある日を境に180度景色を変えた。 友を思う気持ちが神に届いたのか。それともただの気まぐれか。 はたまた運命というものか。 なにはともかく。李空は目覚めたのだ。 「あ!りっくん起きてる!」 目を覚ました李空に気づいた真夏が、うれしそうに声を弾ませる。 「ごーどーさん!改めて乾杯しよ!」 「おう!そうだな!」 剛堂が音頭を取り、皆がグラスを掲げる。 真夏から手渡され、李空も手に取った。 「それでは改めて」 ごほん、と咳払いをし、剛堂が続ける。 「壱ノ国の勝利を祝って、乾杯!!」 「「「かんぱ〜い」」」 からん、と勝利の音色が響いた。 15の誕生日に、突如出航した行き先不明の大船。 新たな仲間や懐かしい友を乗せて、大船はぐんぐんと未開の地を航海する。 若者たちのエネルギーを燃料に、乗組員の意思を知ってか知らずか、大船は進む。 その先にある光景は、若者たちの未来にどのような影響を及ぼすのか。 その答えは、まだ誰も知らないのであった。
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