WEAKEST WAKES UP

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才 それは10の歳に授かる、皆に平等に与えられし特殊能力。 しかし、平等なのは与えられるという事実のみ。 能力の良し悪しはそれに付随しない。 炎の耐性を得た者は消防士に。水の耐性を得た者は海上保安官に。 その特性を活かした職に就くのが、この世の定石であり常識であった。 人生一度きりの大博打。その後の人生を決めるルーレット。 このガチャで引きの強さを見せつけた者だけが、社会の上位に君臨することを許されるのだ。 そんな混沌とした世界においても、極めて異質な存在があった。 攻撃的な才を授かった者同士が鎬を削りあう総合格闘技。人呼んで、サイストラグル。 サイストラグルに憧れぬ漢なし、といった謳い文句の通り、世界中の特には男から絶大な支持を得ている。 それは透灰李空においても例外ではなく、幼き頃から密かに憧れを抱いていた。 そして迎えた10歳の誕生日。 その歴史になぞり、生まれた時刻に合わせて教会を訪れ、祈りを捧げる李空。 歴史が語るには、その直後に目に見えた変化があるはずなのだが、この時の李空にはそれが見られなかった。 己の才が不明なまま、そわそわとした気持ちで数日を過ごした李空だったが、ある日悟ってしまった。 悟ったことで、李空は涙した。 というのも、それというのは彼の願いとは程遠いもので。 「他人の才が読み取れる」という、どこまでも地味で汎用性のないものだったのだ・・・。
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