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「せんせー!しつもんしつもん!」
授業も終わりに近づき、少し早めに講義を終えた教師に向けて、真夏が元気に手を挙げる。
「晴乃智以外で質問あるやつはいるか?」
「なんで真夏以外!?」
「お前の質問は0か100だからな。星が回る理屈は解るが、星が星である理由は俺には解らん」
「ほし?せんせーの教科は国語でしょ!」
「これは一本取られたな」
ハッハ、と笑って上手く話を逸らした教師が、腕につけた時計を確認する。
示す時刻は、授業終わりの3分前。
時刻ぴったしに終わることをモットーとしている教師は、時間を埋める話題はないかと辺りを見渡した。
「・・・おっ」
その視線が、李空の視線と交差する。
「そこのお前初めましてだな」
「はあ、今日来たばかりです」
「りっくんは真夏のおさななじみだよ!」
「そうか。それは大変だったな」
「はい。それはもう大変でした」
「なにか通じ合ってる!?」
李空と教師の顔を交互に見て、驚愕する真夏。
真夏という稀有な存在によって、初対面の二人の間に奇妙な絆が生まれた。
こうして、李空にとって初となる西の授業は、これまたヌルッと幕を閉じたのだった。
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