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時は昼時。場所は食堂。
ここイチノクニ学院の食堂には、十代の旺盛な胃袋を支えるため、壱ノ国全土から様々な食材が集まる。
なかでも、海に唯一面する北の大地から届く魚を使用した海鮮丼は、生徒たちの間で不動の一番人気だ。
北の大地から学院までは随分と離れているが、テレポートに類する才の持ち主によって、新鮮な状態を維持したままの流通が可能となっているのだ。
「おい、マイメん。前から聞きたかったんだが、お前真夏ちゃんとはどういう関係なんだ?」
食堂の席に李空と向かい合って座り、怪訝な顔で問うてくる卓男。
2人の前には、それぞれ食べかけの海鮮丼が置かれていた。
「さっきの授業で真夏も言ってたろ。ただの幼馴染だよ」
「あれが幼馴染にとる態度か?」
李空視点で卓男の奥に見える席には、女友達と楽しそうにご飯を食べる真夏の姿があり、李空の視線に気づいた真夏がこちらに向けてブンブンと手を振っていた。
「世間一般の幼馴染がどうなのかは知らないが、真夏は小さい時からああだぞ」
「ぐぬぬ。何度転生したら美少女が幼馴染の世界線に生まれることができるんだ・・・」
「お前は何生かかっても無理そうだな」
「なんて不公平な世界だ」
「そうだなー」
「人生がリセマラできるゲームならなぁ」と項垂れる卓男を他所に、話の流れからか、李空は幼少期のことを思い出していた。
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