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ーーーーーーーー心地よい春風
通学路に落ちる桜の花びら
まだぎこちない新しい制服
胸の鼓動がドクドクと伝わってくる
そう、私 『戸宮千愛』は、今日から
「…高校生!」
中学の卒業式、幼稚園からの親友に告白した。
女の子が女の子に告白なんて、相手からしたら気持ち悪いと思われるかもしれない、けど 来月からは高校生、いい加減自分の気持ちに整理をつけたかった。
告白の返事はまさかのOK!
晴れて恋人同士になれて、一緒に高校へ通うのがとても楽しみで仕方なかった。
今日は入学式、中学と違う道を行くのは少し新鮮な感じで、私は朝からテンションが上がりっぱなしだ。
それでも、いつもと変わらないことはある。
「千愛ー、おはよー」
「おはよ、なな」
この子が華道七海、私の幼馴染で大好きな人。
家が隣同士 ってわけではないんだけど、
あることがきっかけで5歳の時から一緒だ。
容姿端麗、頭脳明晰 私とは真逆すぎる女の子。
なので昔から男子からモテモテ、私は手紙を代わりに渡してくれと頼まれたり、ななのタイプ 欲しい物などを聞かれたりと色々ある。
「千愛の制服姿かわい〜!似合ってるよ!」
「あんま中学と変わってないでしょ、ななも少し大人びて見えるよ」
「ふふっ、千愛、ちょっとしゃがんで」
「え?う、うん」
言われた通り少ししゃがむと、ななの愛用の櫛を取り出した。
「ちょっと髪跳ねてたよー、せっかく綺麗な金髪なんだから、ちゃんと整えて入学式に出ないとね」
「あ、ありがと」
優しくて緩やかな手つき、ななはよく私の髪を梳いてくれる。
あまり見た目を気にしない私に、髪だけは厳しく「髪は女の命だから、絶対にケアは大事」
と色々と叩き込まれた。
だけど、やっぱりななにしてもらうのが私は1番好きだ。
「でもいつもツインテールなのに、今日はロングだね、イメチェン?」
「いや、髪留めが切れちゃって、予備もないから入学式終わったら買って帰ろうかなって」
「なんだー、イメチェンじゃないのかー、千愛のロング可愛いんだけどな。でもやっぱりいつものツインテが1番可愛いよ!」
「照れるからやめて… ほら、早く行かないと遅刻しちゃうよ」
「はーい」
少し頬を赤く染めながら歩き出した。
私より断然ななのが可愛いのに、ななはいつも私を褒めてくれる。
ななは私の幼馴染であり、1番大切な人だ。
ーー高校も一緒のクラスがいいな…
そう思いながら、私達は高校へ向かった。
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