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第1話 三つ編みの女の子
とある、高校の屋上。そこには、一人の女の子が立っていた。名前は、桜崎美紅。今日、自殺をするために、ここに来たのだ。
美紅思考(……よし、いこう。)
美紅が屋上の柵に歩み寄り、靴を脱ごうとする。すると、近くで物音が聞こえた。咄嗟に靴を履き、辺りを見渡す。そこには三つ編みの女の子が立っていた。美紅は、自分よりも先に自殺されると困るので声を掛けた。
美紅「ねぇ、やめなよ。」
三つ編みの女の子は、ぴくっと肩を動かすとゆっくり振り向いた。
美紅「どうして自殺しようとするの?」
三つ編みの女の子は答えようとしない。
美紅「ねぇ、なんで?」
それでも三つ編みの女の子は答えようとしない。
しばらくの間、沈黙が続く。とうとうしびれを切らしたのか、三つ編みの女の子が口を開いた。
三つ編みの女の子「あの人は運命の人だった。どうしても愛されたかった。だ
けど、私を見てくれない。だからここに来たの。」
この話は、何処かで聞いたことがある話だった。だが、この話を聞いていくに連れてだんだんと怒りがたまっていくような気がした。気付いたら美紅は三つ編みの女の子にその怒りをぶつけるかのように叫んでいた。
美紅「ふざけんな!そんなことくらいで私の先を越そうだなんて!欲しいもの
が手に入らないだけで自殺するなんて馬鹿馬鹿しいわよ!欲しいものが
奪われたことすらないくせに!奪われたことのある私の身にもなってみ
てよ!」
美紅の怒りの最初から最後まで聞いた三つ編みの女の子は、少し微笑んだ。
三つ編みの女の子「確かに、それだけで自殺はおかしいね。ありがとう。話し
たら楽になった。」
三つ編みの女の子は、屋上から立ち去った。それにつられ、美紅も屋上をあとにした。
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