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第2話 背の低い女の子
次の日の放課後、美紅は屋上に立っていた。
美紅思考(今日こそは……。)
美紅は靴を脱ごうとすると、柵の外側に誰かが立っているのに気付いた。背の低い女の子だ。
美紅思考(同じ自殺者なのかな?)
先に死なれたら、自分が死ねない。そう考えたのか美紅は背の低い女の子に声を掛けた。
美紅「ねぇ、やめなよ。」
背の低い女の子はゆっくりと振り返り美紅と目を合わせた。
背の低い女の子「なんで止めたりするの?」
美紅「君に死んでもらってはこっちが困っちゃうから…。」
背の低い女の子「ふぅん…。じゃあ、理由を話したら納得できるはず!」
背の低い女の子は、柵の上に座り足をぶらぶらさせながら、話し始めた。
背の低い女の子「私は今までずっとクラスでひとりぼっちだったんだ。無視さ
れて、奪われて、居場所がないんだ。」
その話を聞いていた美紅は背の低い女の子に向かって思い切り叫んだ。
美紅「ふざけんな!そんなことくらいで私の先を越そうだなんて!それでも、
うちでは愛されて温かいご飯もあるんでしょ?私の気持ちを考えてみて
よ!あなたよりひどいことをされているのよ!」
背の低い女の子はなにも言わない。ずっと俯いたまま動かない。
美紅思考(強く言いすぎちゃったかな?)
背の低い女の子「お腹がすいたな…。」
美紅「えっ。」
いつの間にか俯いていた顔を上げると、そこには涙で顔がくしゃくしゃになった女の子が柵の内側に立っていた。
背の低い女の子「あなたのお話を聞いていたらお腹がすいちゃった。だから私
は帰るね!ありがとう!止めてくれて!」
そう言うと、背の低い女の子は屋上から走り去っていった。それに続き美紅も屋上から去っていった。
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